前回,製造原価を計算するコンセプトをざっくりと見てみました。
製造原価=材料費+労務費+経費
ということで,すべての材料費,労務費,経費を,1つの机を作るために使った,という極端な場合を説明しました。
これらを製造直接費といいます。
しかし,実際には,購入した材料をいろいろな製品をつくるために使用することが,よくあります。
(材料の例)机および椅子の組み立てに使用する接着剤
工場で働く人の賃金や,経費についても同様です。
(労務の例)机および椅子の組み立てを行なっている従業員Aさんの賃金
(経費の例)机および椅子を組み立てている工場の電気代
これらは,製造間接費といいます。
材料,労務費,経費を消費したときの仕訳が,
直接費→仕掛品
間接費→製造間接費
となることを覚えましょう。
✔️本記事の内容
製造直接費→「仕掛品」 と 製造間接費→「製造間接費」 の分類について
✔️本記事のライター 管理人:ななうみ
東大理系学部・大学院卒。雇用な不安定な研究職として某大学で研究しながら,お金の勉強を始めました。 独学で簿記3級に合格。現在,簿記2級合格を目指して勉強中です。 勉強のノウハウを多くの人と共有したいと思い,オンライン&オンサイト勉強会を主催しています。
材料費の分類
自動車の製造を考えてみましょう。
直接材料費になるものは,2つだけです。
- 主要材料費…加工して製品の本体とするもの 鋼板、アルミ
- 買入部品費…外部から完成品を購入して取り付けるもの タイヤ,バッテリ
その他,ペンキ,接着剤,ねじ,軍手,安全靴,ものさし,ドライバーなど,上記2つ以外は間接材料費とします。
⭐️直接材料費になる材料も,間接材料費になる材料も,購入した時の仕訳は全て「材料」ですが,材料を消費して右に流した後,直接材料費→仕掛品に,間接材料費→製造間接費に変わります。
(例)直接材料として800円分,間接材料として200円分,合計1,000円分の材料を消費した。
労務費の分類
労務費は,工場で働く人の賃金や給料のことです。
その他にも,ボーナス,手当,退職金等ありますが,直接労務費になるのは1つだけです。
・製品の製造に直接関わる人(直接工といいます)が,製品の製造のために行なった分の賃金
その他は全て間接労務費となります。
補助的に製造に関わる人や,事務職の人の賃金・給料は,全て間接労務費となります。
*ちなみに,賃金と給料の使い分けは以下の通りです。
- 賃金…工場で製品の製造をする人に支払う
- 給料…工場で製品の製造に関わらない人(事務職員など)に支払う
⭐️直接労務費も,間接労務費も,支払った時の仕訳は全て「賃金」ですが,賃金を消費(ちょっと違和感がある言い方ですが…)右に流した後,直接労務費→仕掛品に,間接労務費→製造間接費に変わります。
このあたりの方法は,材料と同じです。
(例)4月の直接工の賃金は100,000円である。直接作業時間は80時間,間接作業時間は20時間であった。
(考え方)全作業時間は100時間(100%)なので,直接作業時間は80%,間接作業時間は20%になります。
よって,
100,000円のうち,80%にあたる80,000円を直接作業分=仕掛品
100,000円のうち,20%にあたる20,000円を間接作業分=製造間接費
とします。
経費の分類
直接経費となるのは次の2つだけです。
- 外注加工品
- 特許権使用料
その他は全て間接経費です。
工場建物の減価償却費も製造間接費となります。これは簿記3級を勉強した後だとちょっと不思議な感じがしますので,特別に覚えておきましょう。
以上のように,製造直接費が圧倒的に少ないので,こちらを覚えてしまい,残りは製造間接費と覚えましょう。
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